2018年1月30日火曜日

新年一発目の映画が『デトロイト』だったのですが・・・【ネタバレ有り】



引越しでばたばたしていたのもあって、やっと今年の劇場初めをして来れました。

見た作品は『デトロイト』なんですけど、これがまあ新年早々ヘヴィーなもので・・・

ある程度覚悟して見たのですが、あおり文句のひとつである40分強のホテルでの尋問・拷問シーン。



「死のゲーム」というのは、自白する者が出なければ、順番に部屋に連れて行かれ射殺される(フリ)という過程を、白人警官演じるウィル・ポールターが悦に浸りながら続けていくというもの。
こうして実際は殺さず、怯える黒人を見てへらへらしているシーンが40分も続きます。(冒頭で既に逃げ出した一人を射殺、またホテルから逃げ出した男も射殺してるけど・・・ちなみに発砲は禁止と上から命令が出てるのに業務態度悪すぎる・・・)

ところが、バカがつく程真面目なデメンズ(ジャック・レイナー、『シング・ストリート』のロン毛の兄貴)に、「お前もやれよw」と誘ったら、ガチで射殺してしまい、事態は最悪の展開に・・・

この件を口外しないと約束できた奴は逃がし、できない奴は射殺し(一人)、スタコラサッサと逃げる白人警官たち。(因みに射殺の件は、全部正当防衛を自作自演してごまかしてます)

しかしすぐに白人警官の失態は本部にも知れ渡り、尋問にかけられるウィル・ポールター含めた3人。
ここでもデメンズが馬鹿真面目を炸裂してくれたおかげで、めでたく3人は逮捕。
ところがどっこい、裁判では3人とも無罪が言い渡され、黒人は完敗してしまうという、なんとも後味の悪い結末=これが現代のアメリカでも起きているという恐怖をまざまざと見せ付けられるのです。




さらに、主演となっているジョン・ボイエガー演じる、ディスミュークスは現場に居合わせたことも有り、白人警官の凶行を暴く重要な役・・・のように見えますが、実際は現場に居合わせ、ウィル・ポールターの持つ銃と同じ経口のものを所持していたせいで、まんまと全ての濡れ衣を着せられ、ブタ箱にぶち込まれます。

裁判で無罪が出たとき、外に飛び出してゲロはいてたシーンは目を覆いたくなります・・・こここまで勝てないとは・・・(ただ、ディスミュークス確か裁判後釈放されたはず・・・)



他にも事件にあった黒人の一人は、クラブで活動するシンガーとしてデビューを目指しいたのに、白人相手に歌を歌えない、同じグループの仲間が射殺された、クラブには警官がいるという理由から、才能を持っているのに聖歌隊で今もひっそりと歌を歌っているという実態。

いやはや私は政治とかそういうのちちんぷいぷいなのですが、いくらなんでもこれはやべえ。

それでも監督は、あの悲惨な現場にいるかのような臨場感を徹底して演出しているので、その狂気的現場を体感したいだけでも、充分劇場で見る価値はあります!

これを見た人のほぼ全員はウィル・ポールターのこと嫌いになりそうですが、彼も演じる際、何度も拷問シーンをテイクするので、辛すぎて泣いてしまったとか。責められねえ・・・


しかし一発目からきついのを引きました・・・
明るい映画が見たいですね。3月に上映される『ハッピー・エンド』なんか、楽しそうなタイトルですね。是非見たいと思います。


2018年1月29日月曜日

『曖昧な未来、黒沢清』を見たら想像以上に曖昧でした。

『アカルイミライ』の撮影現場を捉えつつ、監督の作品、果ては映画に対するインタビューを行い、他にもプロデューサーや出演しているオダギリ・ジョー(若い!)や、浅野忠信(若い!)にも現場のことや監督のことについて聞いてみるなど、短いながら盛りだくさんのように見えてそうじゃない作品。

というのも、監督が常に現場で出す指示が、ひじょ~に曖昧。
役者や助監督に「これはこうで・・・、う~ん、まあどっちでもいいんですけど」「これはあってもなくてもいいんですけど」「お任せします」などなど、とにかく0か1で物事を伝えることがまずないという・・・

終始、オダギリ・ジョーの頭上に「?」がありありと浮かんでいるのが目に見えます。
大御所・藤竜也も「監督の頭の中は、分からないもんだからね・・・うん」みたいな、こっちもそうだよね。うん。と言いたくるほど、すがすがしい「?」っぷり。
浅野忠信はインタビュー時、終始笑顔でした(笑)

しかし、このドキュメンタリーを見て収穫もあります。

私は過去に『リアル 完全なる首長竜の日』を見たときに、あまりにもキャラクターに起伏と言いますか・・・誰がどの役演じても同じなんじゃないくらいキャラに個性がないと感じたのです。当時まだ大学生のクセに偉そうにそんなことを思っていたのですが、監督はこのドキュメンタリーで、「心の葛藤は描きたくない。肉体の葛藤を描きたい」と語っていました。

なるほど、それならあのキャラのなさもうなずけるなあと、勝手に自分で納得していました。なんでそうしたいのかはもうあんまり覚えていません・・・

というのも、唯一監督がきゃっきゃしていたシーンがありまして。。。

それは笹野高史さんに血糊をつけるシーン。

①部屋にぶっ倒れている笹野さんの周りに、まずはキンキンに冷えたお茶をぶちまけます。

②次に、そのしみを下敷きに血糊を広げていきます。

③仕上げに笹野さんにも血糊をぶっかけて、完成です。

お茶をかけるときに、笹野さんが「思いっきりやっちゃってください!」と死体なのに凄く生きがいいという。

因みに何で監督が、血糊のときにうきうきしていたかというと、現場によっては汚すのに抵抗のあるスタッフが多いので、監督である自分が率先して血糊を広げれば、おのずとスタッフの思い切りもよくなるだろうという、優しい配慮があったのでした。(でも純粋に血糊のシーンを撮るのは好きっぽいです。さすが肉体を撮りたいだけあります

ただ、現場では非常に民主的で物腰柔らかな監督も、編集になると独裁者と化すそうです・・・そういう狂気じみたところに、皆惹かれるのでしょうか・・・

そんなアカルイミライを、私はまだ未見なので・・・『散歩する侵略者』を見ます!!!
それにしても、あんなふわっふわの指示で『ダゲレオタイプの女』を撮ったのかなあと考えると、非常に興味深いです。タハール・ラヒムの頭に「?」が浮かんでるのめっちゃみたい

2018年1月26日金曜日

なぜ『ユー・ワー・ネヴァー・リアリー・ヒア』に惹かれるのか考える

カンヌ国際映画祭で主演男優賞と脚本賞を獲得したサスペンス・スリラーというのでしょうか?

退役軍人で、過去の出来事でトラウマを抱える男・ジョーは、依頼金を受け取って、売春をさせられる少女を非公式で奪還するという仕事で食いぶちを繋いでいます。

政治家の男からの依頼で、ニアという少女を救う依頼を受けるジョー。
無事ニアを連れ出すことに成功したかと思えば、父親は何者かに殺害され、ニアは再び何者かに連れ去られてしまい、ジョー自身も予想だにしない陰謀に巻き込まれて・・・というお話。

各方面からは、「リン・ラムジー監督(『少年は残酷な弓を射る』の人)が、『96時間』を撮るとこんな感じ」とか「『ドライヴ』のような雰囲気」など色々言われています。

主演は『ザ・マスター』のホアキン・フェニックス。

今作ではゴリゴリのマッチョというわけではなく、あくまで体を大きく見せるための役作りをしているそうです。(もっと分かりやすく言うと、ホアキンが俳優引退宣言して、人の顔にうんこしようとする映画『容疑者、ホアキン・フェニックス』のときくらいにデブ体がでかいです)

その甲斐あって、男優賞を受賞したのに、日本公開の詳細が一切出てこない(18年1月26日時点)他のカンヌ作は続々と公開が決まっているにも関わらず・・・

あまりにも決まらなさ過ぎて、最近のルーティーンは映画.comさんの作品ページを確認するという感じ。現時点で分かっているのは、「6月公開予定」ということだけ。

じらしにじらされ、正直気でも狂うのではないかとヒヤヒヤしていますが、ここで理性を保つためにも、なぜこんなに公開を待ち焦がれているのかをまとめました。


・音楽がジョニー・グリーンウッド



レディオヘッドのギタリストで、主にポール・トーマス・アンダーソン監督とタッグを組むことが多いジョニーさんが、今作で劇伴を担当しているのがアツいです。

個人的には『ノルウェイの森』のサントラもいい感じにナイーブでたまらないのですが、いかんせん映画をまだ見ていないので、あまり大きな声で言えないのが辛いところです・・・


・ハンマーが武器という謎設定


もっとなんか・・・あっただろ!と言いたくなるような道具で、ロリコンの頭をかち割る主人公という、斬新きわまってシュールな設定である今作。

でもこれは今作の原作小説でも同じような設定になってるらしいです。
「なってるんだよね」って監督自身が私もびっくり~みたいな文章のインタビューもシュール。

でも頭かち割られたロリコンとか、死してなお汚点をさらす感じは想像を絶しそう。

少女でハッスルハッスルしたと思ったら、トンカチをぽかんと喰らってお陀仏ですからね・・・身内にこんなんいたらめっちゃヤダ。


・予告が内容無視でかっこいい



インターナショナル版なので、タイトルも『A Beautiful Day』となっていますが、この予告が個人的に凄くツボなんです。

絶対こんなノリノリな内容じゃないのは分かっているのですが、それでもこの予告を見ると、公開が待ちきれなくなってしまいます。

因みに本国版はこちら↓



最近は配給会社ファントム・フィルムが、本国版の予告にあえて字幕をつけただけのものを劇場に流したり、youtubeにアップしたりしているのですが、もっと他の配給でもやってほしい・・・

例えば昨年アカデミー賞作品賞を受賞した『ムーン・ライト』


最近では、『君の名前で僕を呼んで』も本国版を使用しています。



ただこのような予告のデメリットは、作品によっては概要がちんぷんかんぷんという点・・・既に作品を知っている人はテンションが上がりますが、『ムーンライト』も話のあらすじはよく分からない気がします・・・

というか小さい配給会社は、普通に海外版に日本語字幕つけて、日本版って言ってるので、クロックワークスさんここはひとつ、『ユー・ワー~』はインターナショナル版でお願いします!!!!!!

因みにインターナショナル版で使用されている曲はMelkeveienの「Peter Pan Death Wish」という曲です。



・トラウマ演出が凝っている


ホアキンが演じるに当たって、リン・ラムジー監督は常に轟音が流れている音源を渡し、ジョーの頭の中には常にこの音が鳴っていると説明したそうです。

本編中にそういった演出があるかは謎ですが、予告を見るとジョーは自ら窒息寸前まで自分をいじめるシーンが散見できます。

タオルを顔に被せて、そこに水をたらすという、よく軍で見かける拷問や、
ビニールを思い切り顔に貼り付けて、窒息寸前まで自分を苛め抜くシーンなど。

後者は幼い頃のジョーも行うシーンがあったので、たぶん彼のトラウマと関係しているのでしょう。

・結論


早く情報でて。

こちらからは以上です・・・・・・・・・・・・・・・・

2018年1月23日火曜日

なぜ『グレイテスト・ショーマン』があんまり惹かれないのかを考える

そういえば、ネギを鼻から出した翌日に鼻血がでたのですが・・・うーん・・・

最近、メディアでも取り上げられるようになった『グレイテスト・ショーマン』

昨年度のアカデミー賞受賞作『ラ・ラ・ランド』のスタッフが手がけるゴリッゴリのミュージカル映画として、大々的に取り上げられています。

が!

全くといっていいほど惹かれないッ!

というのも、私自身そもそもそんなにミュージカル映画が得意ではないというのも大きいのですが・・・(あのタモリさんも、「ミュージカルは急に歌い出すから恥ずかしいんだよね」と言っておりますが、本当にこれ

でもでも私は『ラ・ラ・ランド』凄く素敵な作品だと思っているし、一体同じスタッフなのにどうしてこんなに関心度に差が出てしまうのか。

色々考えてみました。

・『ラ・ラ・ランド』はそんなにミュージカル、ミュージカルしていない


よくよく考えると、『ラ・ラ・ランド』のテンション的なK点って、オープニングのハイウェイシーンとか、エマ・ストーンがパーティ行くか迷っているあたりで、あとは割りとしっとりめだし、踊りと歌が一緒になっているシーンってあんまり内容に記憶しています。

これを両方行われてしまうと、恥ずかしく感じてしまうのでしょうが、『ラ・ラ・ランド』はその辺の按配が上手だと思います。くどくないというか・・・というか、ジャズもテーマに入れてるからかなあ。(全然関係ないですけど、セバスチャン死んだ顔して、ライブでキーボードをうぃぃぃぃん!って演奏しているシーンがジワります)

・くどい

これは私が勝手に深読みしているだけだと思いますが、『ラ・ラ・ランド』が公開されてからというものの、CMがこぞってミュージカル調を取り入れてきているような気がしてならないのです。

今パッと思いつくだけでもプレステ4、ダイハツ、ソフトバンク、外車etc・・・

基本ローテンションな私としては、唐突にこういったCMが流れると「ああ、うん・・・」とATフィールドを展開してしまい、最近この現象が多くて辟易しているのかもしれません。

・ストーリーが明るい

私が好きな数少ないミュージカル映画のひとつに『シェルブールの雨傘』があるのですが、『ラ・ラ・ランド』同様、この作品も決してハッピーエンドではないというのがいいのです。(というかこの2作、ラストが凄い似ている気がする・・・)

そもそも『シェルブールの雨傘』は踊りの要素はゼロの変わりに、セリフは歌・100%。
相槌でさえメロディに乗せるという抜け目のなさ。
こういうずっと歌っているゆえ、「突如として歌いだす」演出すら介入する余地のないものを「オペラミュージカル」というそうです。たぶん私もコレなら全然見れる気がしてきました。

『グレイテスト・ショーマン』はたぶんこれとは真逆のタイプなのも、ひとつの理由だと思います。


・結論

別に『グレイテスト・ショーマン』でなくても、この手の類はたぶん惹かれていない

そういえば、今朝zipで取り上げれていた空中ブランコに乗りながら、ゼンデイヤがちゅっちゅするシーンを目撃。あれメッチャ恥ずかしくないですか。皆どういう気持ちで見るの?「素敵!真似してみたい!」とか・・・?
あくまで作品を非難しているのではなく、ミュージカルでこういうのが恥ずかしく感じてしまう。。。という私のシャイ自慢だと思ってもらえると幸いです・・・『ジオ・ストーム』みよ

2018年1月22日月曜日

ちゃらり~、鼻からラーメン~

のネギ×2~



自分でも驚きました・・・麺がぴょろろって出るのかと思ったら、このサイズのネギ一個と、完全に線状になったネギが出てくるなんて・・・
おかげさまで鼻の奥でずっとネギ独特の香りが残って大変でした。なに食ってもネギ味。
デザートで買った、スーパーカップ(チョコチップ味)もネギ味。

ーーーーーーーーー

そんな鼻の奥にネギを二つも孕んでるとも知らず、ゲオでDVDを借りてきました。
引っ越した近所のゲオはなんと旧作80円。



だけど新作5枚を借りて、最初にコナンのから紅~を見ました。
女性から圧倒的支持を得る今作を、なんとなく私も見ていたのですが、ゲンタ君の白痴感が、劇場版使用になっていてとても感慨深かったです(適当)

それにしても、劇場版になると、やっぱスケールも大きいから西部警察ばりに爆発する演出は凄いですね。西部警察見たことないからあれですけど・・・

コナン君の窮地を脱出する方法も、サイレント映画にしたらバスター・キートンに匹敵するんじゃないか位の気持ちで見てました・・・すいません・・・

そしてラストの服部君のキメ台詞は男性の私が聞くと、何というか・・・批判を恐れず言うと、メッチャ恥ずかしくないの?そのセリフ・・・と思いながら見てました。
正直私が同じシチュエーションで、同じセリフをうっかり言おうものなら、絶対意図的にコンクリと同じ衝撃を受けるほうの池に墜落するか、起爆装置ひったくってラオール・ウォルシュの『白熱』よろしく「やったぜママー!キザの頂点だ!」と笑って自爆します(やけくそ)。



それと別で『パトリオット・デイ』を借りたのですが、あえて主人公らしい主人公を設定していない感じが、いかにも愛国心をかきたてて興味深かったです。

どうにも私は転勤族で郷土愛のようなものがあんまりないので・・・なるほどなあ見たいな感じで見ていました。



そんなことより、あのJ・K・シモンズの渋さはなんなんですか!?

切迫した現場に、顔色変えずにタバコ吸いながらも、車のスピードを上げるあの演出!

パイプ椅子をフリスビーみたいに投げて、めっちゃ大きい声でおしゃべりする役もいいですが、このハードボイルド感はヤバイ。実話を基にしているので、本人もさぞゴリゴリのハードボイルドだといいなあ・・・

マーク・ウォールバーグは冒頭で扉を蹴破ろうとして失敗し負傷したり、犯人が運転していると間違われて、警官に発砲されたりと泣き面に蜂状態でした・・・


ちなみに今はネトフリで『ちびまる子ちゃん イタリアから来た少年』を見ています。
何この恋愛展開。。。!

2018年1月16日火曜日

カンヌで気になる作品は?



昨年度のカンヌノミネート作が、ぞくぞくと日本公開していく時期になりました。

既に日本で公開している作品は、邦画の『光』と『グッド・タイム』、あと『ロダン カミーユと永遠のアトリエ 』くらいでしょうか(ネトフリいれると『オクジャ』『マイヤーウィッツ家の人々』があるのか・・・)

こんなにカンヌカンヌって言ってるのに、上記で見たのは『グッド・タイム』と『オクジャ』くらいという体たらく・・・

『グッド・タイム』は昨年の個人的ベスト10に入るくらいよかったのですが、他のカンヌ作品があったらどうなったか分かりません。

そんな中で特別気になる作品をまとめました。

『聖なる鹿殺し キリング・オブ・ア・セイクリット・ディア』


『ロブスター』『籠の中の乙女』の監督、ヨルゴス・ランティモス最新作。
脚本家も同じタッグになっているんで、あのシュールなルール感が健在なのを期待したいです。

不気味な予告に対し、監督がニコール・キッドマンに「これはコメディなんだよ」と説明して、大女優を苦笑させるという、現場もまけず劣らずシュールな様子。

それにしても予告を見ると、あの真っ白なTシャツを着てクソへタなフォークの持ち方でミートスパを食うシーンこそ「4つの悲劇」のうち1つの前触れなのではないかと信じてやみません。あんなシーンゴリゴリの主婦が見たら卒倒しそう。

『ジュピターズ・ムーン』


設定からして非常に引き込まれるにも拘らず、前評判ではビミョーな扱いゆえ、見るのにチャレンジ精神が必要となりそうなこちら。

銃で撃たれたら空中浮遊(正確には重力を操る)ができるようになったという、一週回ってギブ&テイクな能力を手にした難民の主人公と、彼を利用して過去の医療ミスによる借金を手にしようとする医師の話。

ストーリーはともかく、予告のラストにある文字通りの天理がひっくり返っているシーンは圧巻なので、やっぱり映画館で見たいです。
正月早々車酔いして吐きそうになった私は耐えられるのか・・・



この監督は過去作の『ホワイト・ゴッド』しかり、設定の奇抜さが魅力のひとつと想っているし、それを実際にやる奴いないだろ(笑)と考えていたらガチでやってしまうというガッツのある監督だと勝手に思っています。

『ハッピーエンド』


かたや難民が銃撃されて重力を操れるようになったのに、一方別の難民がいるフランス北部の町カレーでは、そんなこと毛ほども気にせず贅沢の限りを尽くしたのびのび生活を送るサイコパス一家がいました。

以下、あらすじ


ヨーロッパの難民問題を背景に、フランス北部の町カレーで暮らす問題を抱えた3世代の家族の姿が描かれる本作。両親の離婚により家族と離れて暮らしていた娘エヴは、父親トマと一緒に暮らすため、祖父ジョルジュたちの住むカレーに呼び寄せられる。(https://natalie.mu/eiga/news/259512
いっつも同じような胸糞な映画を作っては何度かパルムドールを獲得するという稀有な散在ですが、今回は残念ながら逃していしまいます。



因みにどれくらいパルム・ドールを取っているかというと、『ディーパンの闘い』でパルムドールを獲ったジャック・オーディアールが、インタビューで『ハネケ監督が今年映画作らなくてマジ感謝』と発言するほど。

今作は、これまで以上に「不快」な映画をつくったそうです。
これまで散々(ネタバレ子供が犯した殺人の罪を親がもみ消したのに親に擦り付けてブタ箱送りにしたり、一家嬲り殺したり、介護疲れでパートナーを殺したりしてるのに、あまりにもその真っ直ぐな志は逆に尊敬します。たぶん監督が一番サイコ。


『ラブレス』


アレハンドロなんとかイニャリトゥに次ぐ、言いにくい監督こと、アンドレイ・ヅビャんとか。

前作『裁かれるは善人のみ』では、ラストの家屋破壊シーンは、あまりの無慈悲さに開いた口が塞がりませんでした。「あーあ・・・」みたいな。

今作は身勝手な両親が離婚する際、その息子が突如失踪してしまうという話。

本国版を見ると、どうやら主人公の女性とその母はめちゃくちゃ仲が悪い様子。



息子に対しても非常に冷たく接し、(時系列は分かりませんが)、車内でマジ切れして叫ぶ主人公など、罪悪感どころか、失踪して手を煩わせやがってええええ!という雰囲気さえ感じ取れます。

個人的に子供が大人の都合に巻き込まれてしまう映画(『別離』とか)に弱いので、これは絶対みたい・・・



『You Were Never Really Here』


まだ何の詳細もあがっていないカンヌ脚本賞&男優賞を獲った、現代版『タクシー・ドライバー』とか『96時間』をレフン監督『ドライヴ』っぽくしたなど、いろいろな憶測が飛んでいる作品です。



元軍人で、過去のトラウマをもつジョーは、非合法の仕事(主にロリコンのドタマをハンマーで勝ち割り、被害にあった女の子を連れ戻す)をしていましたが、政治家の娘ニナを救うも、その後父親が殺害されまたニナは誘拐され、ジョーも何か大きな陰謀に巻き込まれていき・・・みたいな話だそうです。

とりわけインターナショナル版の予告が最高にクール・・・


上映時間は85分と、ロリコンには厳しくても、観客には優しい様子。

個人的には一番見たいのは『You Were Never Really Here』なので、とにかく日本公開の正式な情報が早く出ることを願うばかりです・・・

2018年1月15日月曜日

『アナイアレイション(原題)』がNetflixで配信されると聞いて



私が首を長く長く待ち続けて、その頭が〈エリアX〉にのめり込むんじゃないかというくらい楽しみにしている『全滅領域』の実写映画『アナイアレイション(原題)』

基本我慢が苦手な私は、原作本が出ているものなら積読を見て見ぬ振りしつつ購入するたちなので、今回も『全滅領域』はもちろん、2部の『監視機構』、3部の『世界受容』も読みました。

しかし『世界受容』が残り40ページというところまで差し掛かったところで、監督アレックス・ガーランドのインタビューに「『全滅領域』しか映画化しないもんね」ときいて、私も全滅しそうになりました。通算したらたぶん800ページくらいは映画化とは無関係・・・

このままでは哀しいので、そのうちブログでネタバレで憂さ晴らししようと思います。
映画気になってる人は絶対読まないほうがいいと思います・・・

と言っても、映画化はシリーズ化する予定も無いので、大分オリジナルよりアレンジされた内容になっている可能性が大です。

なんか原作者ジェフ・ヴァンダミアも完成した映画の試写で、結末は自分の原作と違って度肝を抜かれたとコメントしているようです。アガる。

そして肝心の映画は、どうやら動因が見込める北米と中国は劇場公開して、それ以外の国ではNetflixが配信する予定だと、ネットニュースで知りました。



これは賛否両論別れそうですが、ぶっちゃけ監督の前作『エクス・マキナ』が県内でも凄い微妙な立地の劇場1箇所でしか公開されなかったので、見に行くのにとっても苦労しました。
帰りのバスが分からなさ過ぎて、イオンモールから一生出られないと腹をくくりそうになったほど。

そんな(?)私のような思いをする人には、ある意味路ウホウホ朗報とも言える、今回の配信の件。

映画館で見たい気持ちもあるのですが、最近の私はどうも様子のおかしい人との遭遇率が高めなので、1800円払ってまでキチガ○の隣に座って映画を見るくらいなら、配信は配信でおいしいなと思っています。ホント前のめりになって席に座るのやめてほしい。邪魔・・・



話は戻って、気になるNetflix配信予定は、そのニュースサイトさんいわく、パラマウントの契約上、劇場公開から17日後=単純に考えて3月12日頃になるのではないかと考えられるそうです。わーい!

既に公開されている本国予告を見る感じ、かなり小説でも登場する要素が散りばめられているので、気になる人は小説を読んでも損はしないかと思います。(主に一巻だけですが・・・)