2018年2月27日火曜日

ミヒャエル・ハネケ監督の『ハッピーエンド』公開されるのが待ち遠しい人向けの記事




ミヒャエル・ハネケさんといえば、あの最高に胸糞悪い『ファニー・ゲーム』に始まり、見るものの不快指数を爆アゲしてくることに余念のないおじいちゃんです。

かく言う私も、暗い大学生時代に、狂ったようにハネケ過去作を見ており、その当時は『ベニーズ・ビデオ』を初めとする初期作が、ツタヤでもレンタルできるようになっていた頃でもあり、不快指数びんびんでした。(現在はどうなんでしょう・・・)

前作『愛、アムール』で予告を見た後、本編を見て「やっぱ、そうなるよね!うわああああ」と言いながら劇場を飛び出していった、あの日からもう5年も経つのですね・・・業が深い。

先日、図書館で、『ミヒャエル・ハネケの映画術―彼自身によるハネケ 』というインタビュー本を借りてきました。もう中古しか手に入らない様子。

テレビ映画デビューの作品から、『愛、アムール』までのことや、ハネケ監督のバック・グラウンドにも触れつつ、監督の考えというか哲学的なお話、現場での指導etcと、クソニッチな書籍であるにも関わらず、非常に充実の内容となっています。まだ3分の1しか読めてないけど・・・

その中でもとりわけ気になったのは、監督の生涯ベスト10。以下まとめると・・・


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1位 バルタザールどこへ行く
2位 湖上のランスロ
3位 鏡
4位 ソドムの市(パゾリーニ)
5位 皆殺しの天使
6位 黄金狂時代
7位 サイコ
8位 こわれゆく女
9位 ドイツ零年
10位 太陽はひとりぼっち
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私は古い映画に明るくないのですが、『ソドムの市』が入ってるあたりモロじゃん・・・というのだけは分かりました。
『ソドムの市』も未見なので、偉そうなこといえませんが、いろいろと物騒な作品というのは知っています・・・(詳しくはwiki)



ちなみにハネケ監督の作品には共通かつ多用される演出があります。

それは「平手打ち」

これまでの作品で通算20回もぺちぺちやってるそうです。
有名どころで言えば、『ファニー・ゲームU.S.A』でティム・ロスがマイケル・ピットをひっぱたいています。(その後ゴルフクラブでぶん殴り返されるとも知らず・・・)

それを聞かされたハネケ監督は大はしゃぎ。
しかも、同じ様なことをハネケ監督の奥さんもやっており、監督の作品でおしっこを漏らした登場人物が何人いるかを算出して報告してきたそうです・・・
しかもそれを聞かされた監督は、以降その演出をやめてしまったそうなので、相当の登場人物が小便垂れ流し状態だったというわけです。

きっとその演出をする理由から、監督が作品を通して描きたいことの一貫性が見えてくるかもしれませんが、なんかあまりよい気分にはならない気がするのでしません!

そんな監督最新作『ハッピーエンド』では平手打ちの演出はあるのか?失禁演出は復活するのか、乞うご期待です!


でも孫娘のエヴちゃんが失禁なんてした日には、また違うファンが沸きそうなので、やっぱり奥さんの教訓を受けてやめて欲しいなあとも思いました。













































TシャツCOOLすぎ。

2018年2月23日金曜日

たまには猫の話・・・



去る2月22日、世間では猫の日として盛り上がっていたにも関わらず、当の私はというとリビングで転寝をして、気付けば日付が変っているという始末。

さらに二匹のうち1匹は同棲相手(寝てる)の顎の下で寝て、もう1匹はキャットタワーで寝ていたので、私は家にいながらにしてぼっちみたいになってました。

この2匹は毛色もガタイも性格も違いますが、れっきとした兄弟猫で、実は3兄弟。(3匹目もキジ白で、別の里親さんが引き取ってくれたそうです)




兄弟猫というだけあって、大体一緒にいます。ひどいときにはトイレまで一緒に入ってます。つれション。(しかも片方は見てるだけという)

我々がうっかりドア越しに2匹を隔てようならば、ひたすら悲痛な声でミーミーと鳴きます。今は言いですが、何か病気になって隔離が必要になった際、隔離してても病気になるんじゃないか位、とにかくぼっちがイヤ。なので2匹とも必ず同じ部屋にいるという、我が家としては光熱費が浮いて非常にありがたい次第です。猫様ばんざい。




ちなみにこのキジ白。

鏡の前に立っては、ひたすらキメ顔を見つめているか、「俺に話しかけてんのか?」と喋ってるという次第で、それ以外に関してはとにかく無気力。(ちなみに名前はトラヴィスではなく、ヴィスコンティの『若者のすべて』からロッコとシモーネにしようと提案したのですが、却下されました。)

ぶち猫は嫌なことがあると全力で逃げるのに対し、こちらは担がれてもだらーんとしたままで「はいはい分かりましたぁ」といわんばかりにされるがまま。

一番驚いたのは、病院に連れて行ったときに、いやいやケツに注射打たれた後に、お医者さん(女性)になつくという・・・その後の診察台でのんびりしてました。




しかしキャリーでの移動はイヤみたいで、ずっと虐待されてますぅと言わんばかりに鳴き続けてました。ごめんね!

兄弟猫でもこうも性格が違うと、なかなか興味深いです。




そんな最近のキジ白のマイブームは人の顔周りで寝ることです。(先日私の肩によだれをたらしたのか、ものすごい臭気で目が覚めました・・・26年生きてきて初めて「くっせぇな・・・」てつぶやいて目覚めました。ハミガキはこまめに・・・)



2018年2月20日火曜日

『インペリアル・ドリーム』またの名を『わたしは、ジョン・ボイエガ』



私は短い映画が大好きなのですが、このnetflixオリジナルの『インペリアル・ドリーム』もなんと1時間20分程度という。

『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』で一躍有名人になる前のジョン・ボイエガさんが、過去から綺麗さっぱり抜け出して、作家として愛息子と暮らしていこうとするも、彼のホームはそう簡単にはさせてくれず・・・みたいな話。

なんとなくノワール物っぽいなあと思ってみたのですが、様は幼いころから麻薬ディーラーである叔父に育てられた主人公・バンビは何度も刑務所にぶち込まれるものの、子供ができたことと、投獄中に書いた自伝的小説を出版できたことで、叔父との関係から足を洗いたいと思うようになります。

ところが、叔父はそんな晩日の気持ちを理解せず、出所したばかりで家も金もないバンビを金でつって仕事をさせようとします。
おまけに町を歩いているだけで、警官に拘束されたと苛められる始末。
親の違う弟ウェインと、叔父の息子ギデオンだけが唯一の理解者ですが、途中でウェインとは衝突し、自分の大学への金を稼ぐために叔父の運転手になったり、ギデオンは不慮とはいえ、自分の打った銃弾で幼い子供の命を奪い、常に報復を恐れて生きています。
果たしてバンビは、作家としてのアイデンティティを保ったまま、新しい人生を築くことはできるのか・・・



と、ここまで書いて勘のいい人は気付くと思いますが、なんとな~く雰囲気は『ムーンライト』っぽいです。
音楽とかも黒人ばっかり出てくるのに、ヒップホップ的な劇伴は殆どないです。(何故か『ノルウェイの森』のサントラの一曲『時の洗礼を受けていないものを読むな』をリミックスした曲が流れていました)


(いい曲です。よく聴いていたのに、映画は未見という・・・)

ストーリーはと言うと、とりあえず職に就かないといけないバンビですが、ハロワ的なところに行くと、免許がないと求人に応募できない→免許を更新するには滞納している養育費払え→お金ないから仕事探す・・・という負のループに突入してしまいます。

なんか似ているなあと勘のいい人なら、きっと頭上にはダニエル・ブレイクさんの顔が浮かんでいるはず・・・

(口は悪いが、素行はよいというバンビとは逆の人)

どん詰まりに陥ったバンビは、果たして叔父の仕事を再び始めてしまうのか・・・?そして小説は無事出版してもらえるのか・・・度重なる不運がバンビの前に立ちふさがります。
そんなバンビの選択や立ち振る舞いに注目です。存在感もバツグン。

『ムーンライト』と『わたしは、ダニエル・ブレイク』が好きな人はオススメです。



2018年2月15日木曜日

『恋人まで1%』から見るカノジョの父親に気に入られる方法

ずばり、巨大ディルドをズボンのファスナーから垂らすべし!!!!
TRICKの上田も、その巨根(ボロン、ドサッ・・・)で敵を追っ払ったりしてたし。





完全にノリと勢いとイモージェン・プーツのファンというだけでみた『恋人まで1%』

主人公ジェイソンを含む3人の大学以来の親友が、それこそノリと勢いと下半身だけで独身街道を爆進しようとするも、割とのっけから3人で交わした誓いに背きまくるという、設定はぶっ飛んでるけど、そこのディティールが地味に共感を装う内容になっていました。



正直、マイルズ・テラーはJ・K・シモンズにひたすらいじめらているイメージしかなかったので、そういった意味でも新鮮味溢れる映画でした。ドラムスティックでマスかくのが『恋人~』みたいな。



ザック・エフロンを中心に、強がってるけど、やっぱ末永く付き合える女性がいるっていいよね・・・(マイケル・B・ジョーダンだけ何故か破局の一途をたどる)という主人公達の心境も、どんどん素直になることが難しくなる主人公達と同年代にはパコパコと刺さるのではないでしょうか。

因みに私が個人的に好きなシーンは、
ジェイソンが、イモージェン・プーツ演じるエリーの誕生日パーリーに、正装を仮装と履き違えてゲイッぽい服装に身を包み、(Tシャツには「楽しもう」という意味深なメッセージ)ズボンのファスナーからはおよそ30cmほどのディルドをぷらぷらさせながら、周りから色眼鏡で見られるシーン。

並の人間ならその場で舌噛み千切ぎりたくなるほど(でも実際そんな簡単に死ねないらしいですね・・・加速する生き地獄・・・)の失態ですが、そこはザック・エフロンパイセン。
持ち前のコミュ力をウェーイwwwさせ、その下半身に恥じない振る舞いによって、エリーの父親に気に入られるのです。(一方、何故かマイルズ・テラー演じるダニエルは、彼女のパパに親の仇かってくらい嫌われる。)

私自身も、酒もタバコもしない上に、コミュ力も乏しいので、恋人のお父さんから「えっ」みたいなリアクションをされました。
だからダニエルのお父さんに嫌われるシーンは非常に胸が痛みます。
なんなら私は酒もタバコもやる実の父親にさえ「えっ」みたいなリアクションされますからね。どこ向いてもアウェイ。間違えたアウェーイwww

人間逆境で踏ん張れる奴ほど、意外な成果を手にできるということも、ド下ネタに絡めながら教えてくれる映画でもありました。

そうでなくても、そろそろ丸くならなきゃな~とか、いい加減30近いし落ち着きたいなあなんて人の背中を、ユニークかつテンポよく押してくれる作品ですので、怪訝に思っている人も一度見てみては?

次は『WE ARE YOUR FRIENDS』を見る予定・・・

2018年2月14日水曜日

ヨハン・ヨハンソンが亡くなった・・・


私が劇伴作家として好きだったヨハン・ヨハンソンが亡くなったと昨日ネットで見て、かなりのショックを受けています。
たぶん、フィリップ・シーモア・ホフマンの訃報を聞いたときと同じくらいの衝撃・・・私はこれから、どんなモチベーションで、ドゥニ・ヴィルヌーヴの作品を楽しみにすればいいのでしょうか・・・

私が最初にヨハン・ヨハンソンのサントラにドハマりしたのは、遅ればせながら『ボーダーライン』のサントラ。

あのバキバキに歪んだビート音を劇場で聞いたときはめちゃくちゃ興奮しました。(あれどうやって録音してるんだろう・・・その答えを知りたくてわざわざDVD買ったのですが、特典では明らかにならず)
こんな劇伴があんのかよクソヤべえと思ったのはいい思い出です。

『メッセージ』のサントラも、ヘプタポットの曲とか、すごくツボだったので、今度やるテッド・チャンの『顔の美醜について』のドラマ化でもサントラやってくれたらなあと期待していた矢先の訃報に、膝から崩れ落ちました・・・

まだ日本公開されていない作品で、劇伴担当したものが3作ほど待機しているそうなので、今はその作品が、『マザー!』のように公開中止にならないことを切に願っております(あれ、でもマザーって劇伴結局無しになったんだっけ?そういう潔い判断ができるところも超クール)

そんな『マザー!』のダーレン・アロノフスキーや、ゴールデングローブ賞をヨハン・ヨハンソンも獲得した『博士と彼女のセオリー』のジェームズ・マーシュ監督も追悼のコメントをしています。

これまで最もタッグを組んだヴィルヌーヴ監督のコメントはまだ聞いていませんが、相当ショックを受けているのでしょうか・・・
『ブレードランナー2049』の降板もあるので、やっぱり何かわだかまりでもあったのかと余計な勘繰りを入れてしまう自分の汚え心にも嫌気が差しますが、ここは『オルフェ』を聞いて浄化しようと思います。rip...(使い方あってるのかな・・・)