2018年3月9日金曜日

『プッシャー』3部作をゴリゴリの犯罪スリラーと誤解している人を正しい認識に導くブログ

(まるで聞いていないゴズりん)

ニコラス・ウィンディング・レフン監督といえば、『ドライヴ』で最高にクールな演出とストーリー(脚本は別の人が担当していますが・・・)で一気にファンを獲得し、次作『オンリー・ゴッド』では自分で脚本を担当した結果とんでもない賛否両論の渦に巻き込まれ、さらに次の『ネオン・デーモン』では「レフンよ、どこへ行く」と言わしめるまたも賛否の結果だけならず、エルたんファンらを地獄の底へ突き落とすような展開が話題を呼びました。

しかし監督の『ドライヴ』以降の過去作も注目されるようになり、『オンリー・ゴッド』に北欧テイストを盛り込んだような『ヴァルハラ・ライジング』や、トム・ハーディーが全裸で喧嘩するだけ(褒め言葉)の『ブロンソン』など、ヴァイオレンスな印象が目立つ作品が勢ぞろいしています。

(3作見て、すごくいいキャッチコピーだと思いました)

そんな中でも、借金を抱えた監督を復活に導いた3部作『プッシャー』は意外にもレフン監督作の中でもとっつきやすく、笑える場面さえ散見しているので、まだ監督をよく知らないor知りたい人にはまず見て欲しいとも言える3部作なのです。

取引に失敗してボスから預かった麻薬を紛失してしまった麻薬密売人(プッシャー)のフランクが、警察とボスの双方から追われる身となり、絶体絶命のなかで苦闘する姿を描いたアクションサスペンス。(映画.comより)

(全くRespectできないワンシーン)

こうやって見ると大層ハードな作品のように見えますが、実際の主人公が間抜けの極みみたいな奴で、相棒であるフランク(マッツ・ミケルセン)も地方都市のDQNばりに態度はでかいがおつむは弱いという徹底っぷり。(おまけに後頭部に“Respect“と書かれているタトゥーが凄くじわじわきます)

密売人とはいえ、仕事意識をしっかり持っていればこんなことにはならんだろうと言いたくなるほど、何をするにもテキトーなので、あれよあれよと窮地にはまっていく様はもはやシュールです。

『プッシャー』には全編通して、そんなシュールな場面がいくつかあり、ついついじわってしまうのも魅力のひとつ。

(今では想像もつかないようなお馬鹿な役でした・・・)

マッツ・ミケルセンが相棒に回し蹴りを披露したら、足首ひねって取引に支障をきたしたり、
マッツ・ミケルセンが部屋をバットで荒らそうと、手始めにブラウン管テレビの画面をぶっ壊そうとするも、何故か傷ひとつ付ける事ができなかったり、
マッツ、ミケルセンが久々の娑婆で娼婦2人も呼んだのに、全然勃たなかったり、
マッツ・ミケルセンが集団強盗に参加したのに、定員オーバーで一人バスに乗って帰されたりと、あげたらキリがありません。

そんなクソ野郎ばかり(?)なのにどこか憎めない(というか哀れ)な展開が冴え渡っています。

なんなら1,2で麻薬王として君臨していたミロという人物も、3で主人公になると不運と悲壮感にまみれてきます。

個人的には3が一番面白かったので、(『ドライヴ』でも登場したカナヅチを使ったシーンも登場します) 是非全部見て欲しいところです。

(ミロさん)

ミロさんは、よく分からない国の言葉で罵声を浴びせているときが一番笑えます。本人は必死ですが・・・(1のラストでもその様子が伺えます)
あと娘に仕事のことで口出しされる時と、犯行現場の証拠隠滅している時の表情が殆ど一緒なのもじわります。じわりの極みみたいな人です。


(画像は回し蹴りに失敗する少し前のミケルセンさん)

『プッシャー』は極端な例え方をすると、リチャード・リンクレーター監督の『エブリバディ・ウォンツ・サム』に、犯罪スリラーを表面だけコーティングしたみたいな作品です。お下劣な会話とか、殆ど大学生と一緒だし・・・

ほんと、軽い気持ちで見てもらったほうが面白いと思います。3以外はグロ要素もあんまりないし。。。

しかし3はミロが料理好きにも拘らず、食事しながらの視聴は絶対避けたほうがいいです・・・あんなに食事シーンがおいしく見えなくなることも稀・・・

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