2018年3月5日月曜日

ミヒャエル・ハネケ新作『ハッピーエンド』を見て、ハッピーになっちゃおう!



そんな風になるはずもなく・・・

新作『ハッピーエンド』で、ハネケ監督は「とにかく不快な作品を作った」とカンヌでコメントしていたそうです。

そして新作はタイトル詐欺なのか否かに関しては本当に解釈が分かれる終わり方でした。(以下ネタバレ)




























































長期的に見てハッピーエンドかも?




私は、長い目で見ればハッピーエンドなのかもしれないと考えました。

というのも、おじいちゃんのジョルジュは死にたがりにも拘らず、結局ラストで海に車椅子ごと沈もうとするところを、ジョルジュの子供であるトマとアンヌに見つかってしまいます。

こうやって見ると、ジョルジュにとってはバッドエンドなのは確かです。
しかし、今回はエヴがその様子を動画に収めていることから、もう家族は父親が死にたがっているということに目を背けることができなくなります。

中盤、夜中に屋敷を抜けだし、自動車事故で死のうとしたにも拘らず、家族はその結果に目を瞑って、誕生日パーティーなんて開いてます。

これを気に、家族がジョルジュの本心に目を向けてくれるのでは。という期待をこめての解釈というか、希望的観測というか・・・



増村保造監督の『痴人の愛』で、明らかにパッと見すごく異常なのに、主人公(大楠道代に馬乗りされてる)が「やっと本当の夫婦になれた・・・!」と感極まっているシーンがあるのですが、ある意味『ハッピーエンド』はあのラストを迎えて「やっと本当の家族になれた・・・!」と言える日が来るのではないかと思える、前向きなラストだと考えることにしました。


監督の十八番演出は炸裂したか?




そんなことより、前回のブログで書いた、ハネケ監督十八番の演出「平手打ち」と「失禁」ですが、『ハッピーエンド』ではなんと両方とも使われていないのです!

むしろ平手打ちどころか、ピエールが何の理由か観客には明らかにならないまま、男にフルボッコされたり、
ピエールがトチ狂って、母アンヌの婚約パーティーに移民の男性を数人連れてきて、怒ったアンヌに指をへし折られたりと、それくらいですね。
ピエールだけ終始可哀想な目に合う演出多数でした・・・

もう一方の失禁演出ですが、こちらは奥さんに「お前こんだけ役者にションベン漏らさせてんだぞ」と明確な数字まで出され、それを機に演出を控えたそうです。

しかし、その溢れる尿への熱意を抑えることができなかったのか、エヴの父、トマが不倫関係にある女性との小便をかける変態プレイの内容を字で説明してきます。
もう是が非でもぶっかけたいっ!!!といわんばかりの演出過多にこちらの膀胱も破裂寸前。

なんなら、ジョルジュが男性に物騒な依頼をしたときも「怯えて小便は漏らさんでくれよ」と男性に言ったとき、図らずしも私は男性の股間をまじまじと見てしまいました・・・失禁演出の復活をわずかながらでも期待した私は、まんまとハネケ監督の映画術にはめられたのです・・・流石です・・・パルムドール2冠はダデじゃねぇ。



結論



たぶん監督は、ピエールがあんまり好きじゃない。でもおしっこは好き。

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